治具の材質選定の方法
治具の材質選定をする際は、用途・作業環境・コストの3つを考えることが重要です。
これらを無視すると加工時に支障が出たり、完成時や量産時に問題が起きてしまうことがあるので、材質を理解して選定をしましょう。
もし材質に詳しくなく、選定にお悩みの方は岸本工業へご相談ください。
当社ではお客様のご要望をお伺いし、樹脂をはじめとする治具の材質選定を致します。
この記事では、治具の材質選定の方法を詳しくご紹介します。
治具によく選ばれている素材の種類もまとめておりますので、治具製作の際にご参考ください。
用途・作業環境・コストで材質を選定する
用途や作業環境を考慮して材質を選定する理由は、材料の寸法や形状に影響が出る可能性があるからです。
例えば金属で固定治具を作る場合、その金属の強度が高いと加工品を傷つけてしまう恐れがあります。
こういった場合は、加工品よりも柔らかい樹脂などの材質を選ぶことで問題が解決します。
このように、材質の特性が用途や作業環境に合っているか考えて選定することが重要です。
治具の材質選定でよく注目される性質
- 強度・・・変形や破壊によってかかる負荷への抵抗力
- 摩耗・・・損耗の度合い
- 剛性・・・曲げやねじりに対する変形の度合い
- 腐食・・・化学的作用による損傷の度合い
- 加工性・・・加工に適しているか
- 電気抵抗・・・電気の流れにくさ
- 高温特性/低温特性・・・高温・低温の環境下での性質の変化や影響
この他にも、材質によってさまざまな特性があるので、参考程度にご覧ください。
ただ、治具の設計ではなるべくコストを抑えることが求められるため、材質選定の際はコストも念頭に置かなければなりません。
一方で用途や作業環境を考慮しつつ必要な性質を兼ね備えた素材を選定すると、コストがかかってしまうことがあります。
必要な特性がない素材でも、機能を補う加工(表面処理など)をしてコストが抑えられるケースもあるので、そういった方法も踏まえて検討してみてください。
岸本工業では、めっきなどの表面処理をおこなった部品調達も可能ですので、ご入用の際はお気軽にご相談ください。
代表的な治具の材料の種類と特徴
治具の材料の種類は豊富なので、用途によっては複数の素材を組み合わせて製作することもあります。
ただ、全ての素材の性質を把握した上で選定するのはなかなか大変な作業です。
そこで、よく治具に使用される樹脂・鉄・アルミニウム・ステンレス鋼・銅の5つの素材をピックアップしてご紹介します。
それぞれどのような特徴があるのか、またどういったものに使用されるのかなどをまとめておりますので、材質選定の際にご参考ください。
樹脂(プラスチック)
もともとは樹脂(プラスチック)は樹木の樹液が固まったものですが、現在では人工的に合成されたものが使用されています。
樹脂を治具に使用する理由としては、大きく5つの理由が挙げられます。
治具に樹脂を使用する理由
- 軽量・・・部品の重量を軽くして全体の重量を下げたい、作業性を上げたい
- 摩耗・・・摩耗を防ぎたい
- ワーク保護・・・樹脂でワークを受けてあげることでキズをつけない
- 防錆・・・金属を使用することで発生するサビを防止したい
- 絶縁・・・電気を通さない(導電性樹脂の場合は電気を通します)
さまざまな特性を持つ樹脂を組み合わせて使用することで、今までは金属を使用していた部分へも樹脂を使用して軽量化することが可能です。
ただ、加工に関しては金属より精度が出にくいため、依頼するときはその会社の寸法精度をチェックしておくことをおすすめします。
当社の寸法精度は±0.03mm以内を基準としております。
フルフラット加工(高精度板厚加工技術)では、ご指定の公差で精密加工することも可能です。
鉄
鉄は安価で強度が高く、加工しやすいという特徴があります。
そのため、強度が必要な治具に対して鉄が選ばれます。
ただ錆が発生しやすいため、錆による強度の低下には注意が必要です。
鉄の種類の中でもよく使用されるのはSS400です。
SS400は流通量が多いため、鉄系の素材の中でも安くて汎用性が高い素材です。
ある程度重くても問題なく、溶接や磁性を活用したいときなどにおすすめの素材です。
アルミニウム
アルミニウムは軽くて錆びにくく、加工しやすいという特徴があります。
そのため、軽さと丈夫さが求められる振動試験用の取付治具などに使用されます。
ただ、同じアルミニウムでも種類によっては高価なものもあるので、コストを抑えて治具を作りたいという方は注意が必要です。
アルミニウムの種類の中でも、A5052、A5056、A6063はそこまでコストがかからず、治具などにもよく使用されます。
ステンレス鋼
ステンレス鋼は強度があり、錆びにくく、加工しやすいという特徴があります。
こういった特徴があることから、屋外で使用される製品によく選ばれる材質です。
ステンレス鋼が錆びに強い理由は、クロムが含まれているからです。
ただマルテンサイト系など、種類によってはクロムの含有率が少ないものもあります。
治具の製作においては、水を扱う工場など錆びやすい環境で使用する場合などにステンレス鋼が選ばれます。
ただし、極度の加熱冷却を繰り返す現場では割れてしまう可能性があるので注意が必要です。
銅
銅は主に熱伝導率が高く、耐食性に優れ、加工しやすいという特徴があります。
種類によって様々な特性があるため、工業製品だけでなく日常で使うような雑貨などにも使用されています。
また、抗菌作用がありそこまで高い材質ではないため、ドアノブや三角コーナーなど菌が繁殖しやすい部分にも使用されます。
治具製作においては、試験治具やブッシュなどに銅が選ばれます。
ただ熱に弱いので、200℃以上になる場所で使用する治具にはおすすめ出来ません。
岸本工業は材質選定が可能です
岸本工業では材質選定のご相談が可能です。
当社は樹脂を主体とした治具製作を得意としており、樹脂をはじめとする材質選定を承ります。
部品調達も行っておりますので、お客様のご要望にあわせて他の素材を組み合わせた治具の提案をすることも可能です。
当社ではこれまでにも、MC901、POM、アルミ、SUS、鉄、銅などあらゆる素材を使った治具製作の事例があります。
いずれも「絶縁」「防錆」「軽量」などを考慮して製作しています。
このように、用途やご要望にあわせて使いやすい治具の設計、材質の選定を致します。
また部品の組立も行っておりますので、すぐに使用できる状態で治具を納品することも可能です。
材質選定から設計・加工・製作・組立までご依頼の方はお気軽にお問い合わせください。
材質選定や樹脂加工は岸本工業にお任せ!
材質選定や樹脂を主体とした治具の製作は岸本工業にお任せください。
お客様のご要望や用途にあわせて適した材質選定を行いますので、品質や動作が安定した治具をご提供致します。
また当社は治具に限らず、装置、トレイ、看板、展示台、飛沫防止パネルなど、様々な製品を1台からオーダーメイドで製作しております。
その他にも、樹脂の高精度加工、装置や治具などの追加工、アセンブリなども可能です。
治具の材質選定や製作、その他樹脂に関するお困りごとなどございましたら当社へご相談ください。
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