はじめに
岸本工業は、設立から40年以上にわたり、樹脂の切削加工に取り組んできました。
その経験と技術力を評価いただき、これまで国や大学等の研究開発機関をはじめ、さまざまなお客様から試作品製作や小ロット量産のご依頼を頂いています。
本記事では、これまで試作品製作や小ロット量産を当社にご依頼いただいたお客様の背景、試作品製作から小ロット量産までの流れ、試作品製作から小ロット量産を行った当社の事例をご紹介します。
岸本工業にご依頼いただいた背景
これまで当社に試作品製作や小ロット量産をご依頼いただいたお客様の背景としては、以下のようなものがあります。
岸本工業では、お客様のこのようなニーズにお応えするために、試作から小ロット量産までワンストップで対応できる体制を整えています。
次項では、試作から小ロット量産までの流れをご紹介します。
樹脂製品の試作から小ロット量産までの流れ
ここからは、試作から小ロット量産までの流れをご紹介します。
STEP 1. 企画立案
企画立案の段階では、お客様において、どのような製品を製作する必要があるのかを明確にします。
そして、製品のアイデアが明確になったら、お客様は製品に必要な要件や仕様を具体化していき、試作品の開発設計へと進みます。
STEP 2. 開発設計
製作したい製品の要件や仕様が固まったら、試作品の開発設計を行います。
当社がお客様をご支援できるのはこの段階からとなります。
例えば、お客様の手書きのイラストやイメージ図をもとに、CADで精緻な設計図面を作成することが可能です。
また、お客様が求める機能に合った樹脂素材の提案や、製品の構造設計に関する助言も行なっています。
STEP 3. 試作品製作
開発設計が完了したら、設計図面に基づき試作品の製作を行います。
試作品の製作では、お客様とのすり合わせが重要です。
実物を手に取ることにより、図面では分からなかった問題点が明らかになる場合もあるからです。
そのような場合は、試作品製作と次のステップの試作品試験は、複数回繰り返し、修正を加えていきます。
STEP 4. 試作品試験
試作品製作が完了したら、品質検査を行なったのちに、試作品をお客様にお送りしてご確認いただきます。
製品の透明度、薄さ、表面の滑らかさなどは試作品を手に取って、お客様自身の目で確認いただくことが重要です。
試作品試験で課題が見つかった場合は、修正を加えて再度試作品を作り、試験を行います。
STEP 5. 量産設計
お客様による試作品の確認が完了したら、量産のための設計に移ります。
岸本工業では、量産を前提とした試作品製作のご依頼を頂く場合には、開発設計の段階であらかじめ量産に適した設計を行うため、このステップは不要となる場合もあります。
STEP 6. 量産
量産設計が完了すると量産に入ります。
当社では、マシニングセンター5台をはじめとして充実した設備体制を整えており、目的にあわせて設備を使い分け、小ロット量産に対応しています。
また、お客様によっては、当社で加工する樹脂製品と合わせて、金属加工部品の製作や、加工した金属部品と樹脂製品のアッセンブリーまでまとめて対応して欲しい、というご要望を頂くこともあります。
当社では大田区内を中心とした幅広いネットワークを活かして、そのようなニーズにもワンストップでお応えすることが可能です。
STEP 7. 品質検査
小ロット量産による製品製作後は、設計通りに製作されているか、一点一点丁寧に品質検査を行います。
当社の定める品質管理基準に従って、徹底した品質管理を行っています。
STEP 8. 納品
品質検査をクリアした製品を、ご指定の納期までに納品します。
当社が対応した試作品製作・小ロット量産の事例
ここからは、当社が試作品製作から小ロット量産まで対応した事例をご紹介します。
なお、守秘義務契約の関係上、具体的な研究機関名・企業名や写真の掲載はできません。
事例1:実験用可視化治具の製作依頼
医療系メーカーの研究所様から、大学との共同研究で使用する実験用可視化治具の試作品製作のご相談を受けました。
ご依頼いただいた試作品は、アクリル樹脂を切削加工したうえで、金属部品を組み合わせて使用するもので、中に液体を入れて実験を行うための治具でした。
そのため、試作品には高い透明度が求められ、また、アクリル樹脂部品と金属部品のアッセンブリーが必要でした。
お客様からはCAD図面のご用意がなかったため、デザイン画をお預かりして当社にて3D-CAD図面を作成しました。
図面を作成したところ、アクリル樹脂部品と金属部品を接合する箇所に構造上問題があることがわかり、当社より構造設計の修正をご提案しました。
また、金属部品については、当社の協力会社にて製作し、当社で組み立てて納品するワンストップ対応をご提案しました。
試作品を製作してお客様にご確認いただいたところ、大変ご満足いただき、数十個の量産発注を頂きました。
その後、別形状でも試作品製作から数十個単位の小ロット量産のご発注を継続して頂いています。
事例2:半導体装置の機構部品製作依頼
半導体装置メーカー様から、機構部品の試作品製作から小ロット量産のご依頼を頂きました。
こちらのメーカー様では、導電性ナイロン樹脂素材の機構部品を必要としていましたが、その要求仕様が、薄板(t=1.0mm)かつ表面荒さが小さい(Ra1.6以下)という難易度の高い仕様であったため、地元では対応可能な企業を見つけられませんでした。
当社にて試作品を製作しお送りしたところ、高い評価を頂き、すぐに量産のご依頼となりました。
こちらの試作品については、板を薄く削った際に発生しがちな「反り」や「ねじれ」をいかにして抑えるか、また、いかにして表面荒さを小さく抑えるかが課題でしたが、治具の作成を工夫することで難しい加工を成功させました。
こちらのお客様からは、その後も毎年のように、形状の異なる部品も含めて、数百個単位の小ロット量産のお取引を継続で頂いています。
事例3:機構部品の可視化製品製作依頼
機構部品メーカーの研究所様から、研究で使用するために、機構部品を透明にして中身を見られるようにしたいというご依頼を頂きました。
こちらの案件では、お客様から図面の提供を受け試作を行いましたが、薄板かつ細かいR*を有する形状であり、さらに、可視化加工が必要であったため、難易度が非常に高い案件でした。
市販のバイト**では加工が難しいため、市販のバイトを研いで本製品専用のバイトとして自作して対応しました。
また、製品が割れたり欠けたりしないように、専用の治具を新たに製作して加工を行いました。
お客様には大変ご満足いただき、その後も年に複数回のリピート発注を頂いています。
* R:切削加工時の角の丸みのことで、「R」はRadius(半径)を意味する。
**バイト:切削加工時に使用する切削工具
まとめ
今回は、当社の試作品製作から小ロット量産への取り組みについてご紹介しました。
このように、岸本工業では、樹脂製品の試作品製作から小ロット量産までワンストップでの対応が可能です。
樹脂の薄肉加工や複雑な形状の加工、可視化加工など、他社では断られてしまったような難しい加工でも、お引き受けいたします。
また、図面がなければイラストなどからCAD設計図面の作成も可能です。
樹脂製品の試作品製作や小ロット量産でお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ先】
電話 03-5703-8171
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