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医療機器の樹脂材料を解説!製品や加工の内容にあわせてプラスチックの素材選定のご相談を承ります。

医療機器に使用される樹脂材料とは?

医療機器にはさまざまな樹脂材料が使用されています。

医療業界で樹脂材料が選ばれる理由はいくつかあります。

  • 生体適合性の観点から、体内で異物反応を引き起こしにくく、患者への安定性を確保できる
  • 他の素材より軽量であり、扱いやすい
  • 柔軟性に優れており、様々な形状へ加工の自由度が高まる

このようなメリットがあることから、今まで金属が使用されてきた医療機器の部品の代替材料としても注目を集めています。

医療機器 樹脂 材料 熱に強い 耐熱

医療機器の部品などに使用される樹脂の種類には、以下のような素材があります。

  • PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)
  • PPA(ポリフタルアミド)
  • PPSU(ポリフェニルサルホン)
  • PC(ポリカーボネート)
  • PP(ポリプロピレン)
  • アクリル

これらの樹脂以外にも、用途にあわせて様々な種類の樹脂が使用されています。

岸本工業は医療機器製造業者に登録しており、樹脂材料を使用した医療機器の製造・加工のご依頼を承っております。

先程挙げた樹脂材料以外にも対応しておりますので、材料選定の段階からお気軽にご相談いただけます。

もし樹脂材料の選定で悩まれている方は、まずは岸本工業へご相談ください。

今回は、先程挙げた樹脂がなぜ医療機器の材料に選ばれているのか、またどんな医療機器に使用されているのかなど詳しく解説します。

 

強度・剛性に優れた素材PEEK・PPA

PEEKやPPAは強度や剛性に優れた樹脂材料です。

医療機器 樹脂 材料 PEEK PPS

※左:PEEK 右:PPS

これらは高いガラス転移温度を持っており、結晶性樹脂である点から強度や剛性に優れています。

そのため、高負荷や高摩擦状況でも使用できる素材です。

また、高温環境でも優れた安定性があり、PEEKであれば約250℃、PPAであれば約200℃まで安定性を維持できます。

他にも化学薬品や溶剤に対して安定性を示し、化学的に要求の厳しい環境で使用されます。

このような特徴から医療機器の材料に選ばれています。

また、PEEKやPPAと似た特性を持つ樹脂材料としては、PEI(ポリエーテルイミド)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)などが挙げられます。

 

材料の用途と求められる特性

PEEKやPPAを利用した医療機器の例をいくつかご紹介します。

▼歯科用材料
PEEKは歯科用材料として使われることがあります。

例えば、補綴材料やインプラントの支台材料として使用されています。

PEEKは生体適合性があり、耐摩耗性や薬品耐性を持っているため、歯科治療に適した樹脂材料なのです。

またPPAは、その高い強度を活かし、治療に使用する器具の素材に選ばれることがあります。

▼人工関節
人工膝関節や人工腰椎ディスクなどは、高い強度と耐摩耗性が求められます。

そのため、人工関節のコンポーネントにPEEKが使用されることがあります。

これらの使用例はほんの一部であり、他にもさまざまな医療機器に使用されています。

 

滅菌可能!繰り返し使える器具にPPSU

PPSUは多湿の環境下でも加水分解されにくく、スルホニル基を持つことから化学的安定性を持っています。

また、高い耐熱性を発揮し、長時間高温環境で使用することができます。

他にも、多くのスルホニル基を有することで、酸やアルカリ、有機溶媒などに対する耐性を持っています。

これらの特徴があり、尚且つ医療機器の一般的な滅菌法に耐えることができるため、医療機器の材料に選ばれています。

なお医療機器の一般的な滅菌法としては、蒸気滅菌、オートクレーブ滅菌、ヒートステリライゼーション等が挙げられます。

 

材料の用途と求められる特性

PPSUはその優れた特徴を活かして様々な医療機器に使用されています。

特に医療機器の製造や再利用において、高い耐熱性という特性は重要な役割を果たしています。

▼外科手術用器具
PPSU製の外科手術用器具は、高温蒸気滅菌やオートクレーブ滅菌に耐えることができます。

手術時の器具の使いまわしによる感染リスクを減らすために、PPSUが選ばれます。

▼血液透析機器
血液透析機器は定期的に滅菌が必要となる医療機器です。

滅菌処理により血液透析中の微生物増殖を防止し、患者の安全性を確保することが出来ます。

またPPSUは血液接触にも耐えることができ、透明性も高いため血液透析機器だけでなく医療分野においては幅広く使用されています。

 

透明性が高く視認可能な樹脂PC・PP・アクリル

PCやPP、アクリルは透明性が高いという特徴を持つ樹脂材料です。

医療機器 樹脂 材料 アクリル

これらはガラスに匹敵するほどの透明性を持っています。

透明性が高い樹脂であれば中の様子を外から確認できるため、カテーテルなどの練習用の装置や器具などにも使用されています。

また、これらの樹脂材料は加工性に優れている点も選ばれる理由の一つです。

切削加工、成形加工、接着加工が行いやすく、自由度の高い設計に対応した加工が容易に行えます。

その他にも透明性の高い樹脂材料には、PMMA(ポリメチルメタクリレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)等が医療機器として使用されています。

 

材料の用途と求められる特性

PCやPP、アクリルの医療機器としての用途を材料別に以下で紹介していきます。

▼PC
PCは透明性が高く、特に耐衝撃性に優れているため、血圧計や体温計のカバーやゲージに使用されています。

▼PP
PPは、薬品耐性や耐久性から医療用注射器やシリンジ、カテーテルやチューブとして使用されています。

▼アクリル
アクリルは透明性が高いことに加え生体適合性もある為、歯科用のマウスピースや矯正装置として使用されています。

その他にも医療機器としては観察窓や保護カバーなど、ガラスよりも軽い点を活かした用途もあります。

 

医療機器の樹脂材料や部品加工のご相談は岸本工業へ

医療機器に使用される樹脂は、今回解説した材料以外にもたくさんあります。

医療機器 樹脂 材料 種類

それぞれの材料にメリット・デメリットがあるため、医療機器の設計や試作段階では材料選定に悩む方も多いです。

例えば、先程ご紹介したPEEKは性能が高い素材として知られており、金属の代替材料として注目されていますが、非常に高価です。

製作目的や仕様を考慮して材料を選ぶことも大切ですが、コストも材料選定において非常に重要です。

もし製作目的やコストなどさまざまな面から材料選定で悩まれている方は、岸本工業へご相談ください。

 

医療機器の仕様決定や材料選定が可能

岸本工業は、樹脂やプラスチックと呼ばれる材料全般に対応しております。

これまで樹脂を専門に取り扱ってきたからこそ、材料について知り尽くしております。

そのため経験や知識が豊富な当社スタッフが、製作内容や予算などをお伺いし、材料の選定を行うことが可能です。

まだ製作内容や仕様が決まっていないという場合でもご安心ください。

医療機器 樹脂 材料 3DCAD

岸本工業はお客様の持っている完成品のイメージを形にし、3DCADで図面化します。

事前のヒアリングで詳しくお話を伺いながら図面化することも可能ですが、簡単なスケッチやイメージ図がございましたらご提供ください。

また、開発中で詳細を明かせない素材でも加工などのご相談を承っております。

岸本工業の強みや対応範囲などについて詳しくはこちら

このように、当社は開発・研究、試作の段階からお気軽にご依頼が可能ですので、製作や材料についてご不明な点があればお気軽にご相談ください。

 

医療機器の樹脂材料や仕様のご相談はこちら

医療機器の樹脂材料や仕様のご相談は下記のお問合せ先からご連絡ください。

当社は樹脂の切削加工を中心に、それに付帯する加工や部品の調達にも対応しております。

医療機器 樹脂 材料 治療装置

設計〜組立まで一貫対応も可能ですので、部品だけでなく装置やユニットなどの製作実績もございます。

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