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樹脂板厚の高精度均一加工と、滑らかな表面粗さを実現する、岸本工業の「フルフラット加工」とは(2)

はじめに

「フルフラット加工」は、当社独自の工法による、樹脂の高精度板厚加工です。

金属に比べ寸法精度を高めることが難しいとされる樹脂板加工において、公差±0.03mm、表面粗さRa1.6以下を実現しています。

半導体、エレクトロニクス、医療関連機器などの高い寸法精度を求められる業界や各種研究開発機関から高い評価をいただいています。

前回のブログでは、「フルフラット加工」の概要とフルフラット加工のメリットについてお伝えしました。

2回目の今回は、フルフラット加工が採用された事例を3つ紹介します。

前回の記事はこちら

フルフラット加工の採用事例

搬送トレイ

1つ目の事例は、電子部品の搬送トレイの素材として採用いただいた事例です。

搬送トレイは、工場の生産ラインで製造途中の半製品を次工程に移動する際の収納として広く使用されています。

一度に多数の部品を運べるようにするため、一つのトレイ上に、多数のポケットを設けます。

それらのポケット一つ一つに半製品が載せられて、自動化された生産ラインの工程間を搬送されていくのです。

搬送トレイの製作では、収納する部品の大きさに合わせ、樹脂板にポケットを切削加工していきます。

この時、樹脂板の板厚が均一でなかった場合、ポケットの底面を同じ高さに切削したとしても、樹脂板の厚みが場所によって異なるため、場所によってはポケットが浅すぎてしまったり、逆にポケットが深すぎてしまったり、という問題が起きてしまいます。

電子部品はとても軽いため、ポケットが浅すぎる場合、ちょっとした衝撃でトレイから飛び出し落下してしまう恐れがあります。

また、深すぎる場合には、次工程で取り出しにくくなる、という問題が起きてしまいます。

これに対して、フルフラット加工の樹脂板ではトレイのすべての場所で板厚が均一となり、電子部品が飛び出して落下する心配がなく、また、積み重ねや取り出しがスムーズになり、作業効率が向上します。

※搬送トレイの加工については、こちらの記事もご覧ください。
「搬送用トレーをオーダーメイドで製作~提案・設計から岸本工業にお任せください~」
「電子部品のトレイ(トレー)製作のご依頼は岸本工業へ!工業用・運搬用に対応しています」

ICソケットと検査用プリント基板

2つめの事例は、ICソケットと、検査用プリント基板の土台に使用する樹脂板への採用事例です。

ICソケットとは、半導体製品の集積回路(IC)の電気的特性テストや信頼性評価を行うために使用する樹脂製の治具(ツール)です。

ICソケットには、コンタクトプローブと呼ばれる細い筒状の金属製器具が内蔵されており、これを介して検査対象のICとプリント基板の電極を接触させることによって、ICの品質検査を行います。

この時、ICソケットやプリント基板の土台部分に使用する樹脂板の板厚が均一でなかった場合、図のように、コンタクトプローブが、プリント基板上の全ての電極に正しく接触できない可能性があります。

そうすると、本来、検査に合格するはずの正常なICが不合格となる問題が発生する可能性があります。

フルフラット加工により板厚が高精度に均一化された樹脂板を使えば、このような問題は起こらず、精度の高い品質検査を行うことができます。

リニアガイド

3つめの事例は、リニアガイドです。

リニアガイドは、名称の通り「リニア=直動」の動きを「ガイド=案内」するための機械部品です。

リニアガイドは、「キャリッジ」と「レール」と呼ばれる2つの部品で構成されており、固定した「レール」上を「キャリッジ」が直線的に移動する構造になっています。

工場の生産ラインなどで、機械装置の直線的な移動をスムーズに行うために、幅広く使用されています。

このレールを取り付ける土台部分の樹脂板や、キャリッジ上部に取り付ける可動装置を支える土台部分の樹脂板に当社のフルフラット加工樹脂板が使用されています。

このレールを取り付ける土台部分の樹脂板とキャリッジの上に取り付ける可動装置を支える土台となる樹脂板を製作する際に重要なことは、キャリッジの上部に取り付ける可動装置をスムーズに可動できるようにすることです。

ここで、レールの土台部分に使用する樹脂板の板厚が均一であれば、キャリッジとその上部の稼働装置の土台となる樹脂板はレール上を左右ともにスムーズに可動することができます。


もし、このレールの土台部分に使用する樹脂板の板厚の精度が低く、板厚が均一でなかった場合には、下図のように、キャリッジ上の可動装置の土台樹脂板が、下の樹脂板に当たってしまい、可動を妨げてしまいます。

フルフラット加工の樹脂板を使用すればこのような問題を防ぐことができます。

まとめ

今回は、岸本工業が独自技術に基づいて提供している、高精度な板厚加工サービス「フルフラット加工」の採用事例を紹介しました。

フルフラット加工は、半導体、エレクトロニクス、医療関連機器の部品製作のほか、冶具製作や微細加工など、高い寸法精度と面精度が求められる分野で活用されています。

樹脂素材を用いた機構部品の精度向上に関してお困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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