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金属部品の樹脂代替を検討中の方へ~岸本工業では素材選定からサポートします

金属部品の樹脂代替とは?

「金属を樹脂に置き換えるのは難しいと思っていた」

実際に金属部品を使用しているお客様から、「ダメ元で」と前置きした上で、金属部品の樹脂代替についてのご相談を受けることがよくあります。

耐久性や精度の面から、これまで当然のように金属を選んできた部品でも、実は使用条件や要求特性によって、樹脂への置き換えが可能なケースがあります。

しかし、はじめて樹脂代替を検討されるお客様の多くが、

  • 強度は大丈夫なのか?
  • 寸法精度は確保できるのか?

といった不安を口にされるのも事実です。

こうした疑問にお答えするために、本記事では金属部品の樹脂代替におけるメリットや注意点、素材選定の考え方、実際の加工事例を交えながら、検討時に抑えておくべきポイントをご紹介します。

金属部品を他の素材に置き換えたいとお考えの方は、ぜひ検討の参考にしてください。

金属部品を樹脂に置き換えるときのポイント

金属部品を樹脂に置き換える際は、単に素材を変更するだけではなく、「なぜ置き換えたいのか」という目的と、「どのような特性が必要か」という要件を明確にすることが重要です。

ここでは、樹脂化の代表的なメリットと注意点を整理し、判断のポイントを紹介します。

樹脂化のメリット

金属から樹脂への置き換えによって、次のようなメリットが得られるケースがあります。

樹脂代替のメリットは、軽量化・耐腐食性・耐薬品性・電気絶縁性・摺動性など多岐にわたります。

たとえば、樹脂はアルミや鉄に比べて大幅に軽いため、装置全体の軽量化が可能です。

これは、自動車部品やロボットアームなどの軽量化ニーズに適しています。

また、耐腐食性の高さにより、メッキ装置のように薬品が飛散する環境でも長期間使用できるため、金属に代わる材料として重宝されています。

耐薬品性に優れた樹脂を選べば、薬液搬送装置などの腐食性の高い流体を扱う機器でも、安定した性能を維持できます。

さらに、電気絶縁性も樹脂の重要な特性のひとつであり、電気回路や基板治具などの用途で金属に比べて安全性が高まります。

加えて、摺動性のある樹脂は摩耗が少なく、搬送装置やベアリングなどの可動部において滑らかな動作が期待できます。

一部のスーパーエンジニアリングプラスチックでは、グレードによってこれらの特性を複数併せ持つことができる点が大きな強みです。

たとえば、MCナイロンには摺動性を高めた「潤滑グレード」や、耐熱性・寸法安定性を強化した「高耐熱グレード」などがあり、使用環境や目的に応じて使い分けることができます。

また、PEEKのような高機能樹脂では、耐熱・耐薬品・絶縁性・機械強度がバランスよく実現したグレードが揃っており、医療・半導体・宇宙航空などの過酷な環境でも採用されています。

このように、金属では得られなかった特性を、ニーズに応じて選べる柔軟性も、樹脂代替を進める大きなメリットのひとつです。

樹脂化の注意点

樹脂に置き換えることで多くのメリットが得られる一方で、使用する素材によっては、事前に確認すべき注意点がいくつか存在します。

金属同様に、樹脂も使用環境や要求性能に応じた素材選定が非常に重要になります。

たとえば、構造部品では剛性や強度が不足する場合があり、摺動部品では摩耗や表面硬度に注意が必要です。

寸法精度が求められる場面では、熱膨張や吸水による寸法変化への配慮も欠かせません。

また、耐熱性に限界がある素材も多いため、高温環境での使用には耐熱グレードの選定が求められます。

このような注意点を踏まえ、適切な樹脂やグレードを選べば、むしろ金属では実現できなかった機能や性能を満たせるケースもあります。

したがって、樹脂化においては、目的や使用条件に応じた樹脂素材の選定が重要なポイントになってきます。

金属部品の樹脂代替に適した樹脂素材を比較

「軽くしたい」「電気を通したくない」「薬品に強くしたい」といったニーズは、金属部品の樹脂代替を検討するきっかけとしてよく挙げられます。

このような目的に対して、樹脂素材ごとに特性が異なるため、用途や使用環境に応じた樹脂素材選定が重要になります。

以下に、代表的な金属部品の樹脂代替のニーズと、それに対して一般的に使用される樹脂素材の一例を整理しました。

実際の現場では、「軽量化しつつ、絶縁性も欲しい」「耐薬品性も必要だが、寸法精度も維持したい」といったように、複数の要件が同時に求められるケースがほとんどです。

上述の説明はあくまで目安として参考にしていただきながら、実際の使用環境や設計要件に応じた素材選定が必要になります。

岸本工業では、豊富な素材知識と加工実績をもとに、条件に合った樹脂素材をご提案しています。

素材選びに迷った際は、ぜひお気軽にご相談ください。

岸本工業による金属部品の樹脂代替の実績

岸本工業では、金属部品の樹脂代替に関するご相談を多数いただいており、これまでにもさまざまな部品の置き換えに対応してきました。

ここでは、実際に対応した代表的な加工事例を2つご紹介します。

事例1:ベンチュリー管(金属→アクリルへの置き換え)

「流体の動きや圧力変化を目視で確認したい」というご相談をいただき、もともと金属製だったベンチュリー管をアクリル素材に置き換えました。

内部構造の可視化を目的とし、アクリルの高い透明性を活かして圧力差や流速の変化がひと目で確認できる設計に仕上げました。

  • お客様の課題:実験や展示用途として、金属製では難しい流体挙動の可視化。
  • 使用素材:透明アクリル
  • 導入効果:内部構造と流体の可視化を実現。展示・教育・開発現場での理解促進にも活用。

このように、機能性に加えて「見せる」ことが重要な場面では、樹脂化によって金属では実現できなかったニーズに対応できる場合があります。

事例2:装置用治具部品(金属→MCナイロン・POMへの置き換え)

「検査時にワークを傷つけたくない」「作業者が扱いやすい軽量な治具にしたい」とのご要望を受け、金属部品とMCナイロンやPOMを組み合わせた導通検査ユニットを製作しました。

部品を固定する主要な構造部分を樹脂で構成することで、絶縁性や軽量性、作業性を確保しつつ、必要な電気的接点には金属部品を使用しています。

  • お客様の課題:導通検査時にワークを保護しつつ、重量負荷を軽減したい。
  • 使用素材:MCナイロン、POM(構造体)、銅(導通部)
  • 導入効果:ワークのキズ防止と軽量化を両立。作業性・安全性の向上にも寄与。

このように、すべてを樹脂にするのではなく、必要な部分に必要な素材を使い分けることで、金属と樹脂の特性を活かした最適な治具設計が可能です。

金属部品の樹脂代替なら岸本工業にご相談を

金属部品の樹脂代替は、軽量化・耐腐食性・電気絶縁性・耐薬品性・摺動性など、多くのメリットが期待できる一方で、素材選定や設計、加工ノウハウが必要となる領域です。

「強度は大丈夫か?」「精度は出るのか?」といった不安も多いかもしれませんが、使用条件を正しく整理し、適切な樹脂を選ぶことで、金属以上の性能やコストバランスを実現できるケースもあります。

岸本工業では、40年以上にわたる樹脂切削加工の実績と、多様な素材知識・設計提案力を活かし、試作から量産、追加工まで幅広く対応可能です。

「どの樹脂を選べばいいかわからない」「まずは1個だけ試してみたい」といったご相談も歓迎しています。

金属部品の樹脂化を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

【お問い合わせ先】
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