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透明プラスチックの特徴と使用環境に応じた選び方

代表的な透明プラスチック素材

透明なプラスチック素材には多くの種類があります。

装置カバーやパネル用途などでよく用いられる代表的なものとして、アクリル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリメチルペンテン(PMP)などが挙げられます。

これらのプラスチックはすべて透明度が高いですが、耐熱性・耐薬品性・耐候性・入手性など異なる特性を持ち、使用環境や目的に応じた使い分けが求められます。

たとえばアクリルは透明性と入手性に優れる一方で、耐薬品性はやや劣ります。

また、ポリカーボネートは耐熱性に優れますが、表面が傷つきやすく薬品に弱い特性があります。

本記事では、代表的な透明プラスチックの特徴を比較しながら、それぞれの用途に適した素材をどのように選べばよいかをご紹介します。

代表的な透明プラスチック

 

見た目の美しさと透明度の維持

透明度の高いプラスチックといっても、見え方や経年による変化には違いがあります。

視認性の美しさを重視するのか、長期間の透明性を求めるのかによって、最適な素材は変わってきます。

透過率(光の通しやすさ)だけでなく、見た目のクリアさや経年による変化のしにくさも、用途によっては重要な評価軸になります。

視認性(見た目のクリアさ)

一般的に、アクリル(PMMA)はガラスのような光沢と高い視認性をもち、見た目の美しさでは他の透明プラスチックの中でも評価が高いプラスチックです。

対して、ポリカーボネート(PC)は若干の青みや白濁が見られる傾向がありますが、実用上は高い視認性を保っています。

また、切削や接着などの加工後に透明度が落ちやすいプラスチックもあります。

アクリルは特別な切削技術により透明な切断面を維持できる場合があるのに対し、ポリカーボネートは表面処理(蒸着など)を行うことで透明度を保つことができます。

経年変化(劣化のしやすさ)

使用環境によっては、紫外線や熱の影響で透明性が劣化するケースもあります。

特にアクリルは紫外線による黄ばみが生じやすく、長期間の屋外使用には注意が必要です。

また、ポリカーボネートは表面が柔らかいため、傷や白濁(白濁化)が発生する傾向があります。

アクリル(PMMA):液体を貯めるタンクの蓋

 

耐熱性の比較

透明なプラスチック素材の中でも、使用環境が高温の場合には、耐熱性の高いプラスチックを用いる必要があります。

必要とされる理由

装置のカバーや視認窓などに使用される透明素材は、照明や熱源の近傍、または乾熱環境に置かれることが多く、形状を維持しつつ白濁や反りを抑える必要があります。

こうした場面では、単なる透明性だけではなく、耐熱性をあわせ持つ素材の選定が不可欠です。

代表素材と注意点

耐熱性に優れる素材としては、ポリカーボネート(PC)が代表的で、120℃程度の連続使用が可能です。

また、ポリメチルペンテン(PMP)は約150℃の耐熱性があり、特殊用途にも対応します。

一方、アクリル(PMMA)やポリエチレンテレフタラート(PET)の耐熱温度は80〜90℃にとどまり、長時間にわたる高温下での使用には注意が必要です。

塩化ビニル(PVC)は特に熱変形を起こしやすく、高温用途には不向きです。

ポリカーボネート(PC):高透明度切削事例

 

耐薬品性の比較

洗浄工程や薬液の飛散が避けられない現場では、透明性に加えて薬品への耐性が素材選定の重要な軸となります。

必要とされる理由

薬品接触がある環境では、白濁・ひび割れ・変形などの劣化リスクが顕在化しやすく、透明プラスチックの見た目や機能が短期間で損なわれる場合があります。

このような状況下においては、見た目の美しさや汎用性ではなく、接触薬品の種類と濃度に応じた素材選びが求められます。

代表素材と注意点

耐薬品性に優れる素材としては、塩化ビニル(PVC)が代表的で、酸やアルカリへの高い耐性から、洗浄設備や薬液槽のカバーなどで長年使われています。

さらにポリメチルペンテン(PMP)も、アルカリや有機溶剤に強く、医療・化学分野で選ばれる素材です。

一方で、アクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)は、透明性では優位であるものの、薬品との相性には注意が必要です。

アクリルはアルカリや溶剤で白濁やクラックが生じやすく、ポリカーボネート(PC)も有機溶剤での劣化が懸念されます。

塩化ビニル(PVC):透明配管ユニット

 

コスト・入手性の比較

透明プラスチックの選定においては、性能や見た目だけでなく、コストと流通性のバランスも実務上の重要な判断軸です。

必要とされる理由

どれほど優れたプラスチック素材であっても、必要なサイズや数量を短納期で調達できるか、加工コストがどの程度かかるかといった要素は、現場での実用性に直結します。

とくに量産や短納期対応が求められる場面では、コストや入手のしやすさを踏まえたプラスチック選定が不可欠です。

代表素材と注意点

アクリル(PMMA)は透明プラスチックの中でも比較的低コストで、板厚やカラーバリエーションも豊富なため、最も流通量の多い素材です。

ポリエチレンテレフタラート(PET)も比較的安価で、飛沫防止板など簡易な用途に適しています。

一方、ポリカーボネート(PC)は性能面で優れますが、アクリル等に比べてやや高価であり、厚みや加工内容によってはコストがかさみます。

さらに、ポリメチルペンテン(PMP)などの特殊素材は入手性が限られ、価格も高いため、用いるには要求性能とコストのトレードオフを考慮する必要があります。

ポリエチレンテレフタラート(PET):飛沫防止板

 

対候性の比較

屋外や直射日光の当たる環境で使用される透明プラスチックには、紫外線や風雨に対する対候性が求められます。

必要とされる理由

透明プラスチックは光の透過性が高い一方で、紫外線や熱による黄ばみ・白濁・ひび割れなどの経年劣化を起こしやすいという側面もあります。

これらの変化は見た目の問題だけでなく、安全性や視認性にも関わるため、使用期間や環境を見越した選定が求められます。

代表素材と注意点

アクリル(PMMA)は比較的対候性に優れ、紫外線による黄変は起きやすいものの、劣化の進行は緩やかで屋外用途でも広く使われています。

屋外サインやガードなどでの実績が多い素材です。

一方、ポリカーボネート(PC)は高性能でありながら、表面が柔らかく、紫外線による黄ばみや白濁が生じやすいため、屋外で使う場合はUVコートやハードコート処理が前提になることが一般的です。

ポリエチレンテレフタラート(PET)は対候性は高くなく、屋外での長期使用にはあまり適していません。

特に塩化ビニル(PVC)は熱による変形も伴いやすく、屋内用途が基本となります。

左:アクリル(PMMA) 右:ポリメチルペンテン(PMP)

 

透明プラスチック素材の選定ポイント

透明なプラスチック素材にはさまざまな種類があり、それぞれに特有の長所と短所があります。

本記事では、耐熱性・耐薬品性・コスト感・耐候性といった観点から、代表的な透明プラスチック素材を紹介しました。

実際の選定においては、どれが一番優れているかではなく、使用目的・設置環境・予算・入手性などの条件に応じた最適なバランスを見極めることが重要です。

たとえば、

  • 美観や加工のしやすさを重視するならアクリル(PMMA)
  • 高温や衝撃環境下ではポリカーボネート(PC)
  • 薬品との接触が避けられない現場では塩化ビニル(PVC)やポリメチルペンテン(PMP)
  • コストを抑えた簡易用途にはポリエチレンテレフタラート(PET)

といったように、用途や制約条件によって最適な選択は変わります。

代表的な透明プラスチック素材の性能比較

 

用途に応じた正しい素材選定は、製品の品質・安全性・長期コストに直結します。

透明プラスチックの素材選定で迷う場合は、岸本工業までお問い合わせください。

【お問い合わせ先】
電話 03-5703-8171
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