アクリルの切削加工とは?透明度の高いアクリルを切削加工するためのポイント
アクリルは、透明度の高さと加工のしやすさから、光学機器・ディスプレイ部品・実験用治具など様々な用途で活用されています。
しかし、加工方法によっては「白濁」や「表面のキズ」が発生し、透明度が損なわれることがあります。
特に切削加工では、加工条件や工具の選定によって透明度が左右されるため、高い技術が求められます。
本記事では、アクリルの加工方法の違いや透明度を維持するためのポイントを解説し、岸本工業の高精度で研磨を行わずに透明に仕上げる切削技術の強みを紹介します。
アクリルの加工方法と特徴
アクリルの加工方法には大きく分けて「切削加工」「成形加工(射出成形/押出成形)」「レーザー加工」の3種類があります。
それぞれに特長があり、用途や求める仕上がりによって適した加工方法が異なります。
たとえば、試作品や小ロット生産では高精度な切削加工が適しており、大量生産には成形加工が選ばれます。
また、装飾やロゴ刻印などの微細加工にはレーザー加工が用いられます。
どの加工方法を選ぶかによって、透明度や精度、コストが大きく変わるため、事前に加工の特性を理解することが重要です。
アクリルの主な加工方法
① 切削加工
フライス盤や旋盤を使用して、アクリル材の板もの(平板)や丸もの(丸棒)を削り出す加工方法です。
寸法精度が高く、透明度を維持しながらの加工も可能なため、精度が求められる実験用器具や精密部品の製作に適しています。
試作品や小ロット生産に向いており、研磨を施すことでさらに透明度を向上させることができます。
② 成形加工(射出成形/押出成形)
アクリルを溶かし、金型に流し込んで成形する加工方法です。
金型の製作には高い初期費用がかかりますが、一度金型を製作すれば同じ形状の製品を大量に製作できるため、量産時には1個あたりのコストを抑えることが可能です。
ただし、加工時に微細な気泡や透明度の低下が発生しやすいため、光学用途や高透明度を求める部品には追加の研磨工程が必要になることがあります。
③ レーザー加工
レーザーを使用してアクリルのカットや刻印を行う方法で、非接触で微細な加工が可能です。
カット加工では、アクリルスタンド(アクスタ)などの薄手のアクリル板を透明なカット面に仕上げることができます。
ただし、厚みのある部品や寸法精度が求められる加工には不向きです。
刻印加工では、表面に微細な傷をつけて白濁させることで、ロゴや装飾を刻印できます。
ブランドロゴやプレートの製作などに適しています。
目的に応じた業者選びが重要
お客様が求める品質や用途によって、適切な加工方法や使用する設備が異なります。
どの加工方法が適しているのか、またどこまでの精度を必要とするのかによって、最適な業者を選ぶ必要があります。
特に、切削加工の場合、刃物の種類や加工条件次第で透明度の維持や表面の仕上がりが大きく変わるため、技術力のある業者を選ぶことが重要です。
岸本工業では、特に切削加工を強みとしており、40年以上のアクリル加工の実績があります。
独自の切削技術により、研磨を施さずとも高い透明度を実現し、試作から量産、追加工まで幅広いニーズに対応しています。
高精度と透明度が求められるアクリル部品の加工をお考えの方は、ぜひ岸本工業にご相談ください。
透明度を維持するための加工技術
アクリルの加工では、仕上げの透明度をいかに維持するかが重要なポイントです。
加工方法によっては、切削時の工具の跡や白濁、表面の細かな傷が発生し、視認性が損なわれることがあります。
そのため、アクリルの透明度を確保するためには、以下の2段階のアプローチが重要になります。
① 加工時の透明度維持(ベース工程)
② 研磨による透明度の向上(仕上げ工程)
基本的には、まず切削加工の段階でできる限り透明度を維持し、さらに視認性や光学特性の条件が厳しい場合には、研磨工程を加えることで透明度を向上させるという流れになります。
① 加工時の透明度維持(ベース工程)
アクリル切削加工の段階で透明度を維持するには、適切な工具や加工条件を選定し、白濁や切削跡を抑えることが重要です。
ここでの目的は、可能な限り追加の研磨工程を減らし、コストや納期を抑えながらも透明度を確保することにあります。
この段階で高い透明度を確保できれば、研磨なしでも製品として十分に使用可能です。
特に、装置の透明カバーや内部が見える機械部品などは、追加の研磨工程なしで十分な視認性が得られます。
② 研磨による透明度の向上(仕上げ工程)
より厳しい視認性や光学特性が求められる場合は、加工後に研磨工程を追加します。
<主な研磨方法>
- バフ研磨:外側の広い面を滑らかに仕上げる。コストが低く、一般的な方法
- ラップ研磨:高精度な光学用途に使用されるが、コストは高め
- 手仕上げ研磨:細かい溝や内部形状の研磨に対応可能
この工程では、アクリルの最終的な透明度を高め、微細な傷や切削跡をほぼ完全に除去します。
特に研究開発用途や光学用途の中でも、流体の観察やカメラでの撮影などで、微細な傷や白濁すら許容しない場合は、研磨による仕上げが求められることが多いです。
岸本工業では、フルフラット加工(※)による研磨不要な切削加工と、用途に応じた研磨技術の両方に対応可能です。
お客様のニーズに合わせた最適な加工方法を提案できるため、透明アクリルの切削加工でお困りの方は、ぜひご相談ください。
(※)当社のフルフラット加工技術については以下の記事をご参照ください。
樹脂板厚の高精度均一加工と、滑らかな表面粗さを実現する、岸本工業の「フルフラット加工」とは(1) | 岸本工業
樹脂板厚の高精度均一加工と、滑らかな表面粗さを実現する、岸本工業の「フルフラット加工」とは(2) | 岸本工業
💡技術者のマメ知識~アクリルの素材が厚くても透明度は出る?
アクリルは板厚が増しても高い透明度を維持できる、数少ない樹脂素材です。
そのため、水族館の巨大水槽にも使われており、高い光透過性と耐久性を兼ね備えていることがわかります。
参考:水族館の水槽に使われているガラスってどんなガラス? | みんなのガラス屋さん
ただし、加工方法によっては治具の跡や応力歪みで透明度が損なわれることがあります。
特に、厚みのあるアクリルの加工では、素材の特性を理解したうえで適切な加工技術が不可欠です。
岸本工業では、1mm以下の薄板から250mm程度の厚板まで対応しており、高精度な切削技術により厚みがあっても透明感を保ったまま加工することが可能です。
岸本工業の透明アクリル切削加工の強み
透明アクリルの切削加工では、寸法精度の確保と透明度の維持を両立する技術力が重要です。
加工方法や工具の選定によって、仕上がりに大きな差が出るため、技術力のある業者に依頼することで、品質の高い部品を製作することができます。
岸本工業では、40年以上の樹脂加工実績を持ち、試作から量産、追加工まで幅広く対応しています。
また、フルフラット加工を活用し、研磨工程に頼らず高い透明度を実現する独自技術により、品質の高いアクリル加工を提供できる点が強みです。
① 高い寸法精度を実現
岸本工業では、加工条件の最適化と専用治具の活用により、±0.03mmの高精度なアクリルの切削加工が可能です。
<精度を求める用途>
- 光学機器の透明カバー
- 精密機器のアクリル部品
- 実験・研究用の観察窓
② フルフラット加工による高透明仕上げ
通常、アクリルの透明度を高めるには、加工後にバフ研磨やラップ研磨を施す必要があります。
しかし、岸本工業ではフルフラット加工を活用し、研磨なしでも高い透明度と平滑な仕上がりを実現できます。
<フルフラット加工のメリット>
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- 研磨なしでも高い透明度を実現
- 表面の均一性・平滑性が高く、光学用途にも対応可能
- 研磨による形状変化や寸法誤差を防げるため、精度重視の加工に適している
このように、高透明度と寸法精度の両立が求められる部品や、再現性の高い品質が必要な用途において、フルフラット加工は非常に有効です。
加工段階で透明度を確保できるため、安定した品質での供給が可能です。
当社の「フルフラット加工」の詳細は以下の記事をご参照ください。
高精度板厚加工技術(フルフラット加工) | 岸本工業
③ 試作から量産まで幅広く対応
岸本工業では、試作品1個から量産ロットまで柔軟に対応しています。
試作では形状の確認や設計の最適化を行い、量産に向けた安定した品質とコストバランスを両立させます。
試作・量産のどちらにも適した加工提案が可能ですので、まずはお気軽にご相談ください。
④ 多様なサイズに対応可能な加工実績
岸本工業では、小型部品から大型プレートまで、さまざまなサイズのアクリル製品の加工に対応しています。
<寸法安定性が高い加工サイズの目安>
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- 板もの(平板):厚み 1mm~250mm × 縦 ~500mm × 横 ~800mm
※0.3~0.5mmでも加工可能ですが、治具の跡が出やすく、透明度を損なう場合があるため、寸法精度と透明度の両立には1mm以上を推奨します - 厚もの(立方体):300mm角程度
- 丸もの(丸棒):直径 1mm~400mm × 高さ ~200mm
※最小1φの精密加工実績あり
- 板もの(平板):厚み 1mm~250mm × 縦 ~500mm × 横 ~800mm
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岸本工業では、寸法が安定しやすい形状・材質への知見があり、厚みやサイズに関するご相談も柔軟に対応できます。
⑤ 追加工にも対応
既存のアクリル部品に対して穴あけやくり抜きなどの追加工にも対応しています。
例えば、装置の透明パネルに開口部を設けるなど、既製品に追加工を施すことも可能です。
<追加工の実績例>
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- 機械装置の透明カバーへの穴あけ
- 研究機関向けの既製品への加工
- 市販のアクリル部品のカスタム加工
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ただし、大きさや形状によっては対応が難しいケースもあるため、まずはご相談ください。
透明アクリルの切削加工なら岸本工業へ
アクリルの切削加工では、「寸法精度の確保」と「透明度の維持」を同時に実現することが求められるケースがあります。
加工方法の選定を誤ると、白濁や傷が目立ったり、要求精度を満たさないなど、部品としての品質を満たさないこともあります。
そのため、用途に合った加工技術を持つ加工業者を選ぶことが非常に重要です。
岸本工業では、40年以上にわたる加工の実績をもとに、研磨なしでも高透明度を実現する「フルフラット加工」や、±0.03mmの高精度切削加工に対応しています。
さらに、試作から量産、追加工まで柔軟に対応可能で、透明アクリル部品の幅広いニーズに対応します。
「透明アクリルの加工でこんなことはできる?」「まずは試作で試したい」といったご相談も歓迎です。
透明度と精度の両立が必要なアクリルの切削加工でお困りの際は、ぜひ岸本工業へお問い合わせください。
【お問い合わせ先】
電話 03-5703-8171
FAX 03-5703-8173
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