樹脂加工業者の技術力と提案力を見極めて、適切な業者を選択しましょう!
樹脂は、軽量で加工しやすいため、さまざまな産業で利用されています。
しかし、樹脂の加工方法や材料の選定には専門的な知識が必要であり、依頼する業者選びを誤ると品質やコスト、納期に影響を及ぼしかねません。
本記事では、代表的な樹脂加工方法の種類とその特徴を詳しく解説し、信頼できる樹脂加工業者を見極めるためのチェックポイントを紹介します。
樹脂加工業者の選定を行う方はぜひ参考にしてください。
樹脂加工の種類と樹脂切削加工の特徴
ここでは、樹脂加工の種類と、その中でも当社が得意としている樹脂切削加工の特徴について解説します。
樹脂加工の種類
樹脂加工にはさまざまな方法がありますが、大きく分けると以下の5つに分類されます。
- 切削加工
- 射出成形
- 押出成形
- 真空成形
- 3Dプリンタ
切削加工
切削加工は、CNCマシニングセンタやNC旋盤を用いて、樹脂のブロック形状やロッド形状を削り出し、目的の形状に加工する方法です。
主な特徴
- 高精度な加工が可能
- 1個からの試作や200個程度までの小ロット生産に最適(金型不要)
- 設計変更に柔軟に対応できる
主な用途
- 医療機器部品(精密な形状が必要なパーツ)
- 半導体製造装置の部品(静電気対策が必要なパーツ)
- 自動車部品(ギアやベアリングなど)
射出成形
射出成形は、溶かした樹脂を金型に流し込んで成形する方法です。
主な特徴
- 大量生産に適している(1回の成形で多数の部品を製造可能)
- 金型を使用するため、初期費用が高い
- 複雑な形状の成形が可能
主な用途
- 日用品(プラスチック容器、ケース)
- 家電製品の外装
- 自動車の内装部品
押出成形
押出成形は、熱で溶かした樹脂を連続的に押し出し、一定の断面形状を持つ製品を成形する方法です。
主な特徴
- 大量生産に適している(同じ形状の製品を連続生産)
- パイプやフィルムなどの長尺製品に適している
- 複雑な形状の作成が難しく成形後に二次加工が必要になる場合がある
主な用途
- 水道管や電線被覆材
- 樹脂シートやフィルム
- 建築用の樹脂製フレーム
真空成形
真空成形は、加熱した樹脂シートを型に押し付け、真空を使って成形する方法です。
主な特徴
- 金型が射出成形に比べて安価
- 射出成形よりも形状の自由度が低い
- 成形品の厚みが均一とならず、寸法精度のばらつきが生じやすい
主な用途
- 食品トレーや医薬品包装
- 自動車の内装パネル
- 家電製品の外装カバー
3Dプリンタ
3Dプリンタは、デジタルデータをもとに樹脂を積層しながら形を作る方法です。
主な特徴
- 試作やカスタム品の製造に適している
- 金型なしで製造可能だが、細部は二次加工が必要な場合がある
- 強度や精度は切削加工や射出成形に劣る
主な用途
- 試作品の製造
- カスタムメイド製品
- 少量生産の部品
樹脂切削加工の特徴と活用シーン
ここまでご紹介した加工方法の中で、当社は切削加工を得意としている業者です。
そこで、ここからは、樹脂切削加工の特徴と活用シーンについて解説します。
樹脂切削加工の特徴
樹脂切削加工は、射出成形や押出成形、真空成形とは異なり、金型を使わずに製作が可能であり、1個から200個程度の小ロット生産まで対応できるため、多品種少量生産で高精度な加工が求められる部品の製作に適しています。
樹脂の切削加工は、次のような特徴を持ちます。
- 高精度な加工が可能
- 金型不要でコストを抑えられる
- 試作品製作から少量生産に最適
- 多様な材質に対応可能
- 短納期対応が可能
高精度な加工が可能
樹脂切削加工は、他の加工方法に比べて高精度な加工が可能です。
特に、CNCマシニングセンタやNC旋盤を使用することによって、三次元加工による複雑な形状の加工が可能です。
ミクロン単位の精度が必要な半導体製造装置の部品や医療機器の部品に適しています。
金型不要で初期費用を抑えられる
射出成形のように金型を製作する必要がないため、初期コストを大幅に削減できます。
試作品や小ロット生産では、金型代が不要な分、短期間で低コストの製作が可能になります。
試作品製作から少量生産に最適
切削加工は、1個からの生産が可能であり、設計変更にも柔軟に対応できます。
そのため、新製品開発時に試作品を製作したい場合や、研究に必要となる治具などの特注品を製作したい場合に適しています。
多様な材質に対応可能
樹脂切削加工は、PEEK、POM、アクリル、ナイロン、PTFEなど、多種多様な樹脂を加工できます。
これにより、用途に応じた最適な素材を選択し、求める性能(耐熱性・耐摩耗性・耐薬品性など)を実現できます。
短納期対応が可能
樹脂切削加工は、設計図面を基に即座に加工を開始できるため、短納期対応が可能です。
また金型製作が不要なため、設計変更にも迅速に対応できます。
なお、当社では、設計図面がなくとも、イラストやイメージ図を元にCAD図面を書き起こす支援も行なっています。
樹脂切削加工の活用シーン
医療機器部品
医療機器には、高精度・高耐薬品性が求められる部品が多く、樹脂切削加工が広く活用されています。
【活用例】
- 医療用カテーテルの接続部品
- 分析機器の微細部品
※以下の当社事例もご覧ください。
「カテーテル練習用ファントム」
電子機器・通信機器
電子機器や通信機器では、電気絶縁性や耐熱性が求められるため、樹脂部品の需要が高まっています。
【活用例】
- 絶縁性が求められるケースや搬送トレイ
- ICソケットなどの精密部品や治具
※以下の当社事例もご覧ください。
「バッテリー搬送用トレイ」
装置の内部構造を把握するための可視化加工
新製品開発の現場では試作品内部の動作を確認するために、また、大学などの研究機関では観察対象の状態や液体の動きを確認するために、成形品内部の可視化が求められることがあります。
【活用例】
- 電子機器の内部の動作を確認するために外装品を可視化素材で製作
- 研究機関において、液体の動きを観察するための可視化容器の製作
※以下の当社事例もご覧ください。
「流体可視化実験用部品の樹脂化」
「創x造」掲載記事:「キレイさと正確さを追求したアクリル可視化加工技術」
「アクリル3次元切削加工品」
射出成形品への追加工
最近では射出成形で造形した成形品に対する追加工のニーズも高まっています。
射出成形では、ネジ穴を開けるなどの細部の加工精度を高めることが難しいため、そのような場合には、射出成形で造形した成形品に対して、切削加工によって追加の加工を施すこともあります。
【活用例】
- スイッチボックスなどの電装品に対する追加工
- バイクや車などのカスタム装飾品への追加工
樹脂加工業者の選び方
樹脂加工業者を選定する際、以下のポイントに注意する必要があります。
- 対応可能な範囲
- 技術力と提案力
- コストと納期のバランス
- 品質管理体制
- 実績や評価
対応可能な範囲
対応可能な加工方法
樹脂加工業者を選ぶ際、まず確認すべきなのが、どのような加工方法に対応しているかです。
業者によって得意な加工方法が異なるため、自社のニーズに合った加工が可能かを確認することが重要です。
例えば、試作品や小ロット生産が必要なら、金型不要の切削加工や3Dプリンタに対応できる業者が適しています。
一方で、大量生産を考えている場合は、射出成形や押出成形に強い業者を選びましょう。
当社は切削加工を得意としており、旋盤加工、フライス加工の他、これらを組み合わせた三次元加工も可能です。
さらに、材料を曲げたり接着したりする加工も可能です。
対応可能な樹脂材料
樹脂にはさまざまな種類があり、それぞれ特性が異なります。
加工業者によって取り扱える材料が異なるため、希望する樹脂が対応可能か事前に確認しましょう。
また、特殊な樹脂(高耐熱性や導電性を持つものなど)の加工を依頼する場合は、その実績があるかをチェックすることが重要です。
技術力と提案力
加工精度
自社が求める加工精度を満たすことができるかどうかは、重要なチェックポイントになります。
近年ではマシニングセンタの導入が進み、単純な切削加工の場合には、業者による差はあまり見られなくなりました。
しかしながら、複雑な形状の加工や、高い透明度を出す技術、薄く削る技術においては、業者によって大きな差が出るため、過去の加工事例や納入先の実績などから業者の実力を見極めましょう。
※当社の極薄加工技術についてはこちらの記事もご覧ください。
「極薄!0.1t板厚加工【PTEE編】」
樹脂に関する知識
切削加工においては樹脂にはさまざまな種類があり、素材ごとに特性が異なるため、利用する場面や用途によって、適切な樹脂を選定することが重要です。
当社では、お客様のニーズや利用目的をお聞きした上で、材料選定のアドバイスも行っています。
柔軟な対応と提案力
本当に信頼のおける業者というのは、ただ単に言われた通りに樹脂加工を行なって納品するだけではなく、顧客の依頼の背景にあるニーズや利用目的を理解しようと心がけ、その上で、顧客に寄り添った柔軟な対応や、より適切な提案を行います。
例えば、当社のお客様は研究開発現場の研究者が多いため、CAD図面の製作に慣れていない方も多いです。
そのような場合、当社では、手書きのスケッチ(ポンチ絵)を頂いて図面に起こすことから対応しています。
そして、図面を作成した上で設計上問題がある場合には、製品の形状や構造を変更することや、樹脂の厚みを変更することなどを提案することもあります。
また、当社では、樹脂部品と金属部品との組み立てが必要な場合は、区内協力会社にて金属部品を製作の上、当社で組み立てまで行なって納品するという対応も可能です。
※当社の事例についてはこちらの記事もご覧ください。
「治具用部品のサブアッセンブリー」
コストと納期のバランス
コストと納期は、業者選定の最も重要な要素の一つです。
見積もりを依頼する際には、以下のポイントを確認しましょう。
- 見積もりの透明性(材料費、加工費、試作費などの内訳が明確か)
- 納期対応の柔軟性(短納期対応にも柔軟に相談に乗ってもらえるか)
- コストダウンや納期短縮のための提案力(使用する樹脂や設計の見直しによるコスト削減提案をしてくれるか)
品質管理体制
形状測定機、画像検査機などを備えており、品質管理が徹底されているか確認しましょう。
当社では、医療機器メーカーとの取引も多いため、医療機器製造業の認証を取得していますが、そのような認証を取得しているかどうかも信頼できる業者かどうかを見極めるポイントとなります。
実績や評価
過去の加工事例や口コミをチェックすることで、その業者の強みや得意分野を把握できます。
特に、自社の業界に近い業界での実績がある業者の方が、ニーズを理解している可能性が高いです。
業者の信頼性を判断するために、以下の点を確認しましょう。
- 過去の取引実績(自社と同業界、もしくは近い業界での実績があるか)
- 顧客の口コミや評価(他社の評判や、業者のウェブサイトにある事例など)
- サンプル加工の対応可否(試作を依頼できるか)
また、実際に業者と打ち合わせを行い、技術的な質問をしてみるのも有効です。
経験豊富な業者なら、適切なアドバイスや加工の最適化提案をしてくれるはずです。
樹脂切削加工は岸本工業へお問い合わせください
今回は、樹脂加工業者の選び方を解説しました。
当社は、設立から40年以上にわたって樹脂の切削加工に取り組んでいます。
その長年の経験と技術力の高さを評価いただき、宇宙航空研究開発機構(JAXA)や理化学研究所をはじめ、700社以上の納入実績を有しています。
適切な樹脂加工業者を選ぶことで、製品の品質向上やコスト削減につながります。
樹脂の切削加工や試作品製作をご検討の際には、当社までお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ先】
電話 03-5703-8171
FAX 03-5703-8173
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