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設計担当者が知っておきたい「樹脂の切削加工」のキホン

樹脂素材を用いた試作品や少量生産において、切削加工は重要な役割を果たしています。

なぜ多くの現場で樹脂の切削加工が選ばれるのでしょうか。

また、部品の形状によってどの加工機を使うべきか、現場でよく使われる「丸物(まるもの)加工」「角物(かくもの)加工」という言葉の意味も含めて、基礎知識を理解しておくことが重要です。

本記事では、まず「樹脂加工で切削加工を選ぶ3つの理由」をご紹介します。

そして、「部品の形から知る加工機の役割」を解説し、最後に「樹脂切削加工で生じやすい課題」と「高品質な樹脂切削加工を実現するための注意点」について、樹脂の切削加工の基礎から解説します。

樹脂加工で切削加工を選ぶ3つの理由

樹脂の加工法は、成形加工と切削加工に大別されます。

その中で、製造業者が切削加工を選ぶ理由があります。

ここでは、実務的なメリットに焦点を当てて解説します。

理由①:1個から量産加工に対応

樹脂の成形加工には金型が必要ですが、切削加工は金型を必要としないため、試作段階では1個から短納期で生産が可能です。

設計変更が頻繁に発生する開発初期や、少量生産が求められる場合に特に有効です。

また、必要に応じて量産加工まで展開できるため、開発から生産まで一貫した対応が可能となります。

これにより、設計者はアイデアをすぐに形にし、実際の製品評価へとスムーズに進めることができます。

理由②:多様な材料に対応可能

樹脂には多種多様な素材が存在し、用途や求める性能に応じて最適な材料を選択できます。

切削加工であれば、ガラス繊維やカーボンフィラー入りの高機能樹脂から、エンジニアリングプラスチックまで幅広く対応可能です。

用途に応じた素材を選択することで、求める性能・品質が実現できます。

理由③:高精度な加工が可能

樹脂の切削加工は、寸法公差や表面品質など、素材によっては金属加工並みの精度が求められる場合にも対応できます。

特に、医療機器や精密機器の部品では、高精度が要求されることも珍しくありません。

切削条件や工具選定、加工プロセスの最適化によって、高精度の樹脂部品製作が可能となります。

部品の形から知る加工機の役割:「丸物加工」と「角物加工」

製造現場では、樹脂部品の形状によって「丸物(まるもの)加工」と「角物(かくもの)加工」という言葉がよく使われます。

それぞれに適した切削加工機と特徴を解説します。

「丸物加工」(旋盤で丸い部品を作る)

「丸物(まるもの)」とは、シャフト(軸)、リング、パイプなど、回転体として加工される円筒形状の部品を指します。

業界によっては「バー材」「ひきもの」と呼ばれることもあります。

これらの部品は主に旋盤という加工機で切削加工されます。

旋盤は、ワーク(加工物)を回転させ、そこにバイトと呼ばれる工具を当てて削り取っていく基本構造を持っており、同心円状の精度が高く、軸物や円筒形状の部品に最適です。

「角物加工」(マシニングで複雑な部品を作る)

「角物(かくもの)」とは、治具、プレートなど、四角いブロック形状や、複雑な三次元形状を持つ樹脂部品を指します。

これらの部品は主にマシニングセンタで切削加工されます。

マシニングセンタは多軸制御により、四角い部品や複雑な形状を高精度に削り出すことができます。

樹脂の切削加工で生じやすい課題

樹脂の切削加工は多くのメリットがある一方で、金属とは異なる特有の課題も存在します。

金属に比べて樹脂は柔らかく、熱伝導率が低いという特性から、「金属と同じようにはできない」という樹脂特有の難しさを理解し、対策を講じることが重要です。

ここでは、設計・加工時に注意すべきポイントを解説します。

①そり・ゆがみ

樹脂切削加工では、材料内部に元々存在する内部応力や、加工時に発生する摩擦熱の影響で、加工後に反りやゆがみが生じやすいのが特徴です。

特に薄肉部品や大型のプレート部品では、わずかな温度変化や応力の偏りが形状全体に影響し、平面度や寸法精度を損なう要因となります。

説明1

「そり」あり

説明2

「そり」なし

②熱変形

樹脂は熱伝導率が極めて低いため、切削中に発生する摩擦熱がワークにこもりやすく、局所的に温度が上がります。

これにより、樹脂が軟化したり膨張したりする熱変形のリスクが高まります。

熱変形は加工精度に影響を与えるだけでなく、完成後に冷却される過程で不均一な収縮や歪みを引き起こし、製品の形状安定性を損なうこともあります。

③寸法精度

金属に比べて樹脂は柔らかく弾性があるため、切削加工中のチャッキング(固定)の力や、切削工具の送り条件によって寸法が変動しやすい性質があります。

また、公差が厳しい箇所では、切削条件のわずかな違いが即座に精度に影響します。

高品質な樹脂切削加工を実現するための注意点とポイント

樹脂切削加工における課題を踏まえ、岸本工業では高品質な部品を提供するため、さまざまな注意点やポイントに配慮しています。

ここでは、現場での注意点やポイントを紹介します。

①「そり・ゆがみ」をおさえるための注意点

樹脂部品のそりやゆがみを抑えるためには、設計段階から肉厚や形状のバランスに注意し、加工に用いる治具の選定や加工順序の工夫が重要です。

また、必要に応じて材料の応力除去やアニール処理を検討することで、変形リスクを低減できます。

これらのポイントを押さえることで、高精度な部品づくりが可能となります。

説明1

「ゆがみ」あり

説明2

「ゆがみ」なし

②熱や変形をコントロールするためのポイント

熱変形を防ぐためには、切削条件の最適化や冷却方法の工夫が不可欠です。

加工速度や工具の選定など、熱の発生を抑えるための配慮を行うことで、完成品の形状安定性を高めることができます。

特に、精密部品では、加工中の温度管理が品質維持のカギとなります。

③「丸物加工」と「角物加工」のどちらも対応可能

旋盤による「丸物(まるもの)」の切削加工と、マシニングセンタによる「角物(かくもの)」の切削加工の両方に対応できる体制が、幅広いニーズに応える上で非常に重要です。

岸本工業では、シャフトやパイプなどの回転体から、プレートや治具などの複雑な立体形状まで、多様な樹脂部品形状に対応できる柔軟性が強みとなります。

樹脂の切削加工のご依頼は岸本工業まで

樹脂加工において、高精度な部品を安定生産するには、素材の特性や複雑な形状、そして厳しい公差に対応する総合的な技術力が不可欠です。

岸本工業では、長年培ってきた精密加工技術と難加工ノウハウを駆使し、本記事で解説した「そり・ゆがみ」や「熱変形」といった樹脂の切削加工特有の難題に、最適なプロセスで対応いたします。

樹脂の難加工や高精度な試作品の製作をご検討の際は、小さなご相談からでも、どうぞ当社までお気軽にお問い合わせください。

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