樹脂の切削加工
切削加工とは、工作機械を使用して材料から切断したり削り出すことで、形状を作り出す加工方法です。切削加工は金属や樹脂、木材など、さまざまな材料で広く使用されています。
本記事では、樹脂の切削加工の特徴や加工方法、作業工程、更には切削加工時の注意点などについてお伝えさせていただきます。
樹脂の切削加工の特徴
切削加工では、材料を削り取る時の摩擦により、熱が発生します。また、樹脂は金属などの他の材料と比べると熱伝導率が低いため、切削加工時に熱の影響を受け、膨張や冷却後の変形が発生しやすいという特徴を持ちます。そのため、樹脂の切削加工は、金属などの他の素材の加工と比べると難易度が高く、摩擦による熱を考慮しなければ、期待通りの寸法や精度を出しづらいという特徴があります。
熱の影響を抑えるためには、適切な切削油やクーラントの準備をしたり、工具が材料と接触する面積を減らしたり、冷却後の寸法を考慮して加工したり、などの工夫が必要です。誰にでも簡単にできる加工ではなく、ノウハウや経験が必要になってきます。
樹脂切削の加工設備
当社が樹脂切削で使用している加工設備についてお伝えさせていただきます。一般的な樹脂切削で使う加工設備を一連網羅していますので参考にして下さい。
汎用旋盤
旋盤加工とは、回転させている加工物にバイトと呼ばれる工具を当てて行う加工方法をいい、汎用旋盤は作業者がハンドルやレバーを手動で操作しながら、素材を刃物で切削加工を行います。比較的形状が単純な丸い形状の加工(丸物加工)に適しています。
手動なので加工は作業者の感覚によって進められるため、難易度が高い樹脂の切削加工では精度を出すためには熟練された技術が必要になってきます。
NC旋盤
NC旋盤とは、汎用(普通)旋盤にNC装置(数値制御装置)がついた旋盤のことです。NC旋盤では、NCプログラムによる数値制御で、旋盤に動作を指示し、製品や刃物を自動で動かしながら加工を行います。NC旋盤は、刃物や工作物の位置を正確に動かしながら加工を行うことが可能ですが、樹脂の切削加工では、熱膨張や冷却の影響を考慮した数値の入力が必要になってきます。
NCフライス
フライス加工とは、フライスやエンドミルとよばれるツールを回転させ、テーブルに固定した加工ワークを前後左右に動かしながら行う切削加工のことです。NCフライス盤は、NC旋盤と同様にNCプログラムによる数値制御でツールを自動で動かしながら加工を行います。
マシニングセンタ
マシニングセンタとは、中ぐり、フライス加工、穴あけ、タップ立てなど多種類の加工を連続で行えるNC工作機械の1つで、それぞれの加工に必要な工具を自動で交換できる機能ATC(自動工具交換装置)を備えています。マシニングセンタは、四角い形状の複雑形状の加工に適しています。
ターニングセンタによる加工
ターニングセンタとは、NC旋盤をベースにマシニングセンタの機能も備えているNC工作機械のことです。
ターニングセンタは丸物形状の加工に、フライス加工を加えた複雑形状の加工に適しています。
樹脂切削加工の作業工程
ここでは当社の樹脂の切削加工の作業工程についてご紹介します。樹脂の加工業者にはじめて加工をご依頼される場合はご参考にしてください。
お問い合わせ・ご依頼内容の確認
先ずはお問い合わせ時にご依頼内容を確認します。ご依頼内容には大きく分けて、①既にお客様の方で正式な図面をご準備いただいているケースと、②正式な図面がなく、ポンチ絵やイメージ段階のケースがあります。
製作方法・材料の検討、モデリング
ご依頼内容別に、①の正式な図面があるケースについては、図面を確認し大きな問題がなければ、製作方法の検討に入りますが、VE提案(品質を下げずにコストを下げる提案)やコストダウンが可能な場合は当社から提案を行います。②のポンチ絵やイメージ段階のケースについては、当社で2D及び3D-CADによる設計・モデリング、材料の選定、製作方法の検討を一括して行います。
加工
上記の切削加工設備により加工を行います。加工については、1つの設備で加工が可能なケースと、複数の設備を組み合わせて加工を行うケースがあります。
仕上げ、検査
検査では測定工具や測定機による形状の確認や寸法測定を行います。
樹脂の切削加工時の注意点
ここでは樹脂を切削加工する際に特に注意が必要なポイントを4つご紹介します。
樹脂の特性を考慮
前述の通り、樹脂は切削加工時に熱の影響を受け、膨張や冷却後の変形が発生しやすいという特徴を持ちます。熱による影響は、適切な切削油やクーラントを使用することである程度は軽減できます。しかし、樹脂の切削加工で高精度な寸法を実現させるには、選定した樹脂の特性により、加工時の熱による変形を考慮した加工条件の設定や、熱による加工後の変形を予測したプログラムが不可欠になってきます。
適切な切削工具の選定と工夫
樹脂を切削加工するには各工作機械に取り付けるバイトやエンドミルなどの切削工具(刃物)の選定も重要です。切削工具(刃物)には構造や形状、材質によって種類があり、製品の形状や材料の特性に合わせて正しく使い分けることで製品の精度を上げるほか、作業の効率を高められます。また、適正なコスト管理をするうえでも、切削工具を選定することが重要です。
切りくずの処理適切な切削工具の選定と工夫
樹脂の切削加工においては、切りくずの処理にも特に注意する必要があります。樹脂は金属と比べると柔らかいため、切りくずの排出がうまく行かないと切りくずにより製品を傷つけてしまいます。また、樹脂は摩擦熱で溶けやすく、切削工具にこびりつきやすいため、切りくずを取り除かないまま加工を進めると、切削工具の切れ味が悪化し、加工物の精度が出なくなります。したがって、樹脂の切削加工では切りくずの出方も計算して製品に影響がでないようにする必要があります。
素材の残留応力の考慮
樹脂の材料には素材製時の内部応力が残っているため、特に高精度の加工時には考慮が必要です。切削加工をすることにより応力が解放され、加工後の製品が反ったり変形することがあります。
公差の考慮
これまでの説明からもお判りいただけるように、高精度に加工することは非常に難しい場合が多々あります。そのため、厳しい公差を指示される場合はさらに困難を極めます。当社ではそういった困難な公差を指示された場合には加工方法の提案や公差についてのご相談をさせていただく場合があります。
まとめ
今回は樹脂の切削加工について、加工方法や作業工程、更には加工時の注意点などについてお伝えさせていただきました。樹脂製品の製作の検討段階や樹脂の加工業者を選定の際などの参考にしてください。
樹脂の切削加工の専門業者「岸本工業」にお任せください。
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また切削加工だけでなく、その他必要となる素材の部品調達、図面化や材料選定にも対応しております。もしご依頼の際に図面が無い、または材料の選び方が分からない場合でもお気軽にご相談ください。
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