絶縁材料と耐熱クラスとは
絶縁材料とは、電気を通さない特性を持つ材料のことを指します。
絶縁材料にはプラスチック、ガラス、ゴム、セラミックなど、様々な種類の素材があります。
これらの材料は、電気的ショートや漏電を防ぐために不可欠な役割を果たしています。
絶縁材料は、JISで定められている耐熱クラス(絶縁階級)と大きく関係しています。
耐熱クラスは、絶縁材料が安全に使用できる温度範囲を示しています。
これは高温の環境下で、絶縁材料の劣化を早めてしてしまうことを防ぐために耐熱クラスが存在します。
絶縁材料は主に電子機器や電気設備などに使用されますが、高温に耐えられなければならない場合があります。
耐熱クラスの区分により、絶縁材料の性能や用途が大きく変わるため、適切な材料選択が必要となります。
この記事では、樹脂を専門に扱う岸本工業が、樹脂の絶縁材料と耐熱クラスについて詳しく解説していきます。
絶縁材料の主な用途
絶縁材料は電気を通さない性質を活かし、安全性を高めるために広く利用されます。
例えば、電線やケーブルの被覆、電子部品、高圧変圧器など、電気エネルギーを扱う場面での用途が多いです。
具体的に挙げると、例えば電線がむき出しの状態になっているとします。
むき出しの電線は他の電線と電気的な接触をする可能性があるため、それを防ぐために絶縁材料を使用しなければなりません。
用途に合わせて素材を選ぶことが重要となりますが、もし選定にお悩みの方は岸本工業へご相談ください。
弊社では用途や目的にあわせて選定を行いますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
耐熱クラスの種類
耐熱クラスは、どれだけの温度に耐えられるのか、その許容温度によって区分されています。
この耐熱クラスによって区分された許容温度を考慮し、使用環境にあわせて選ばなければなりません。
なぜなら、絶縁材料が耐熱クラスの許容温度を超える高温環境で適用されると、最悪の場合はシステムの故障につながる可能性があるからです。
樹脂材料は基本的に絶縁性を持つ材料ですが、種類によって耐えられる温度が異なります。
ここでは、耐熱クラスと樹脂の絶縁材料についてご紹介します。
耐熱クラス(Y種、A種、E種、B種、F種、H種など)について
耐熱クラスは、Y種、A種、E種、B種、F種、H種、N種、R種、250の9つに分類されます。
耐熱クラス | 許容温度 |
---|---|
Y種 | 90℃ |
A種 | 105℃ |
E種 | 120℃ |
B種 | 130℃ |
F種 | 155℃ |
H種 | 180℃ |
N種 | 200℃ |
R種 | 220℃ |
250 | 250℃ |
上記の表を踏まえ、具体的にどういったものにどのクラスの絶縁材料が使用されているのか、その一例をご紹介します。
例えば油入変圧器は耐熱クラスのA種、モールド変圧器はB種、F種、H種が使用されることが多いです。
耐熱クラスの重要性
なぜ耐熱クラスが定められているのでしょうか。
以前は耐熱クラスではなく絶縁階級と呼ばれており、180℃を超える絶縁材料はすべてC種でしたが、JISC4003では250℃まで細分化されています。
このように耐熱クラスを定める理由は、部品の故障や部品の寿命を縮める原因になりうるからです。
例えば耐熱クラスのE種を使用するとします。
E種の許容温度は120℃であるため、これを超えてはなりません。
なぜなら絶縁材料が120℃を超えると、劣化が進んでしまうからです。
もし耐熱クラスを無視して使用してしまうと、長時間高温に耐えることができずに部品の寿命を縮めてしまいます。
そうすると交換頻度が高くなり、メンテナンスコストがかかってしまいます。
では耐熱クラスが250のものを使えば良いと思うかもしれません。
確かに高温に耐えられるので安全性は高まります。
しかし耐熱性などの高い機能性を求めると、材料費が高くなってしまうのです。
そのため、メンテナンスコストだけでなく、材料のコストも念頭に置きながら選ぶことが重要になります。
そこで耐熱クラスを目安にすることで、安定した部品を製作できるだけでなく、コストの調整にもつながるのです。
絶縁材料の種類(樹脂)
絶縁材料には耐熱クラスを考慮しながら、さまざまな素材が選ばれます。
中でもほとんどが高い絶縁性を持つ樹脂は、熱に弱いという認識を持たれている方も多いのではないでしょうか。
実際に、樹脂は熱によって変形しやすいため、金属よりも精度が出しにくいといわれます。
しかし、耐熱性に優れた合成樹脂も存在しており、そういった特性を持つ樹脂は熱の影響を受けにくいのです。
そのため、スーパーエンプラなどの機能性が高い樹脂は、金属の代替え品としても注目されています。
では絶縁材料にはどのような種類があるのか、詳しくご紹介します。
樹脂系絶縁材料
樹脂系絶縁材料を耐熱温度とあわせて以下の表にいくつかまとめました。
以下の素材はよく絶縁材料として使用されます。
樹脂の絶縁材料 | 耐熱温度 |
---|---|
ポリエチレン | 70~110℃ |
ポリスチレン | 70~90℃ |
ポリエステル | 130~150℃ |
フェノール樹脂 | 150~180℃ |
エポキシ樹脂 | 150~200℃ |
メラニン樹脂 | 110~130℃ |
シリコン樹脂 | 約250℃ |
フッ素樹脂 | 約260℃ |
※使用条件やグレードによって数値が異なる場合があります。
岸本工業では、これらの樹脂の絶縁材料の切削加工を中心に、それに付帯する加工のご依頼を承っております。
絶縁材料だけでなく、樹脂・プラスチックと呼ばれる素材全般の加工に対応しており、また他の素材の部品や加工品の調達も可能です。
岸本工業の絶縁材料の加工技術と加工事例
絶縁材料に使用される樹脂の加工は弊社でも実績があります。
例えば樹脂製の治具やユニットの設計・製作では、絶縁の他に防錆や軽量化を求めるご依頼が多いです。
中でも検査用ユニットの製作実績は豊富で、機能性の他、作業のしやすさを考慮して設計いたします。
こちらの導通検査ユニットはMC901、POM、銅などの材料を用いて製作しました。
弊社は嵌合調整を得意としておりますので、高精度で安定した品質をご提供いたします。
こちらはフッ素樹脂「テフロン」を極薄板厚加工したものです。
フッ素樹脂は、軍用のために高い温度に耐える絶縁材料が必要となった際に発明された耐熱性合成樹脂の一種です。
切削加工により0.1mmまで薄く仕上げております。
極薄板厚加工は、薄板の製造が難しい素材や、ロール状のクセがついているものが使用できない場面などに最適な加工です。
弊社は今回ご紹介した事例のような、技術力が求められる樹脂の切削加工を得意としております。
絶縁材料を使用した部品やユニットの製作をお考えの方は、材料選定から設計、加工、組立まで岸本工業におまかせください。
耐熱性・絶縁性に優れた樹脂選定はお任せください
絶縁材料の選定は、その性能を最大限に引き出すためには欠かせない工程の一つです。
特に高温下で使用する場合には、部品の寿命や安全性を確保するために耐熱クラスを考慮しなければなりません。
弊社では材料の選定からご相談いただけますので、お気軽にお問い合わせください!
製作したいものの構想などをお伺いし、必要なスペックを見極めて材料を選定いたします。
もちろん材料の性能面だけでなく、「コストを抑えたい」「作業しやすい形状にしたい」などご要望がありましたら、あわせてお申し付けください。
各種お問い合わせ、お見積り依頼は下記お問い合わせ先より承っております。
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